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「鹿男あをによし」制作発表レポート

「鹿男あをによし」制作発表写真
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写真2008年。今年初の相沢作品は、木曜22時枠のフジテレビ連続ドラマである。この、相沢にとって久しぶりの連続ドラマ「鹿男あをによし」は、第137回直木賞候補作である万城目学さんの小説が原作だ。

すでにロケや打ち合わせの様子、物語のあらすじが相沢のDIARYで公開されているが、それにしても鹿が喋るとか玉木宏さんが鹿になるとか、それっていったいどんなドラマなの?! と待ち遠しいみなさまへ。これが先日都内で行われた制作発表の模様である。

1月7日、都内某所に、主演の玉木宏さんをはじめ、綾瀬はるかさん、多部未華子さん、柴本幸さん、佐々木蔵之介さん、児玉清さんが勢揃いした。


いったいこれをどうやって映像に?

「鹿男あをによし」は、奈良の女子校に常勤講師として赴任する事になった理科教師・小川が、人間の言葉を話す鹿からある使命を与えられ、その使命を果たすべく奮闘する、という壮大なスケールで描くファンタジックコメディーである。
この小説を読んだとき、誰もが映像化は難しいだろうと思ったそうだが……。

「この作品を読んだのは去年の夏の事でした。万城目さんが描く不思議な世界に心打たれて、この作品を連続ドラマにしてみたいと思いました。しかしこれを映像化するのはそう簡単なことではありません。舞台は奈良、鹿が喋るという非常に難しい設定をドラマにするのは、大いなる挑戦だと思っています。この作品が2008年のテレビドラマを代表する作品になるべく、スタッフキャスト一同がんばっております。どうぞよろしくお願いいたします」

(プロデューサー 共同テレビ 土屋健さん)

「玉木さんをはじめ出演者の方々には喋る鹿との演技でご苦労をかけておりますが、非常に楽しみな作品に仕上がっておりますので、みなさん御期待ください」

(企画 フジテレビ編成部 中島寛朗さん)

写真「今回の本づくりは、とにかく何もかもが手探り状態で行われている感じです。見た事も聞いた事もないものを、みんなで想像力をフル稼働させて、『これはこういう感じなんじゃないか?』とか『これはこんなカタチなんじゃないか……?』とか、あれこれ真剣に話し合いながらつくっています。大変と言えば大変なんですが、むしろその大変さを楽しんでいるというか、毎回わたしもワクワクしてドキドキして楽しく書かせていただいております。原作の小説を、万城目さんはホラ話とおっしゃってますけども、つまらない枠組みとか常識とかを取っ払った所で、自分の中に芽生えたホラ話を書きたいように書きたいだけ書いているという感じがして、それがとても潔くて、読み終えたときにものすごい爽快感を感じました。ですのでドラマを観てくださった方にも、その爽快感を感じていただけるようにしたいなあと思っています。わたしもまだ上がりが想像つかなくて、それがとっても楽しみなんですけど、きっとみなさんにも楽しんでいただける作品になっていると思いますので、ぜひご覧になってください」

(脚本 相沢友子)


「奇想天外な話で、台本をつくっている時も現場で撮っている時も、『万城目さん何て変なモノを考えてくれたんだ!』と怒りながら楽しんでいます。登場人物のみなさんのキャラもそれぞれ個性的だし、そのうえ鹿は喋りますのでCGとかロボットとか技術をいろいろ駆使してやっております。本当に変なお話なんですが、奈良という舞台がそうさせるのか現場は意外としっとりしていて、不思議な一体感の中で撮影が進んでいます。不思議な世界観の新しいドラマがはじまるんだなあという感じがしますので、ぜひみなさん期待していてください」

(演出 村上正典さん)

個性的なキャラクターの登場人物たち

物語は、小川の赴任先である奈良女学館、下宿先である福原家を中心に進んでいく。映像化が難しいということはつまり、当然演じるのも難しいということになるが、この不思議なドラマをキャストの方々はどう見ているのだろうか。

「説明するのがすごく難しいドラマなんですが、ただ本当にすごくおもしろい作品だと思っているので、みなさんに見ていただきたいと思っています。撮影していても全貌はまだまだ見えてこないんです。CGもどうなっているのか……。探り探りやっているのが現状です」

(鹿に使命を与えられる小川孝信役・玉木宏さん)

「とっても不思議なドラマで、でも絶対におもしろいものになると思っています。楽しみにしていてください」

(マイペースで歴史オタクの歴史教師、藤原道子役・綾瀬はるかさん)

「堀田イトという女の子は小川先生に反発したり、ちょっと発言がきつかったりおかしな事を言ったりする女の子なんですけど、ただ単に嫌なヤツだなあと思って見ていただくのではなく、その裏に隠された秘密が順を追ってわかっていくと思いますので、そこを楽しんで見ていただけたら嬉しいなと思います」

(小川に反抗的な態度をとる生徒、堀田イト役・多部未華子さん)

「今回はマドンナという役をいただきまして、原作を読んだときに何て素敵な女性なんだろうと思っていたので、まさかわたしがやらせていただけるとは思ってもみなかったです。男性に囲んでいただいて、いろんな方にお酌していただいたりする機会はないだろうなあと思うので、この作品でいろいろ楽しませていただきたいと思います。作品もとっても素敵ですので、最初からずっと順を追って見ていただききたいと思います」

(剣道部の顧問でマドンナと呼ばれている長岡美栄役・柴本幸さん)

「僕はこの本がとても好きで、原作も台本もとても好きで、この世界観に生きている事をとても幸せに思います。鹿が喋ったりしてますけど、あくまで日常がある上で、そういうすごい歴史ファンタジーみたいな壮大なものがあるんですね。最近読んだことのない、その超エンタテインメントな世界の住人に自分もなれるという事を幸せに思っています」

(小川を励ます美術教師の福原重久役・佐々木蔵之介さん)

——続いて、そのダンディーな振る舞いとシルバーグレーの髪がリチャードギアに似ていることから「リチャード」と呼ばれている教頭、小治田史明役の児玉清さんです。

「万城目さんの本はとても好きで読んでおりました。リチャードの役は嬉しさのあまりお引き受けしましたが、あとでよく考えてみたら今ご紹介いただいたようにリチャードギアという事で、とんでもない事なのでお断りしようかと思いましたが……。こういうことは滅多にない事ですので、お邪魔虫でもお引き受けしようと思いました。なにはともあれ本もおろしろい。脚本もおもしろい。リチャードギアというよりリチャードギャー! という感じなんでございますが(笑)、お楽しみいただければと思います」

(リチャードという愛称の教頭、小治田史明役・児玉清さん)

玉木宏さんが鹿に?

ようするに喋る鹿と鹿になった男の話なのだろうか……。
ここまで聞いても、それがおもしろくて不思議な物語だという以外まったく想像がつかないのだが、もう少しつっこんだ内容を教えていただくため、キャストの方々にそれぞれ原作と脚本を読んだ時の感想を伺った。

写真玉木:「実は僕はまだ万城目さんの原作は読んでいる途中ですので、台本の方を先に読ませていただいたのですが、すごく不思議なファンタジーに包まれた作品だなあと思いました。鹿に変わっていくのは徐々に段階を踏んで、二話の最後くらいになると思うんですけど、鹿になるってどういうことだろうな……というのがまだイメージがあまりよく出来ていなくて。このあいだ三話の鹿になる所をちょっと撮ったんですけど、CGで、鹿のかぶり物をしているわけでもないので、きちんとイメージしておかないと追いつけないな、と。小川が色々巻きこまれていく感じをちゃんとお芝居で出していければなあと思っています」

綾瀬:「ドラマのお話をいただいてから原作を読んだのですが、序盤の方は長閑な話だなぁ……と思っていたら、だんだん冗談のような、おもしろいミステリーな感じになっていて。一気に読みました。わたしの役は原作では男性なんですが、台本でもその風変わりでマイペースな感じが描かれていて、演じるのがとても楽しいです」

多部:「(わたしの役は)剣道がすごく上手で、原作も台本も竹刀のさばき方の描き方がすごくて、自分も映像になるときにうまく出来るようにならないとなあと不安だったりプレッシャーを感じました。自信を持って剣道のシーンが見所ですと言えるように、がんばりたいと思います」

柴本:「もともとそんなにファンタジーって読まないんですけど、一気に話に引きこまれてしまって、自分を登場人物に投影してしまうくらい、どんどんどんどん入っていってしまうおもしろさがあって、きっと映像化したらおもしろいだろうなとは思っていたんですね。それで台本を読んだらまさにその通りで。自分がこういう脚本のなかの人物を演じられるのは何て幸せなんだろうと思えたくらいおもしろい脚本だったので、これからもみなさんの期待に応えられるようにがんばりたいと思います」

佐々木:「私は美術教師の役なんですけど、おじいちゃんとお父さんと三代続けて奈良女学館の美術教師という設定で。だから僕が一番奈良を体現できるというか、表現しなければと思ってまして。僕は京都出身で近いところなので、そういう悠久の時というのを表現できたらと思っているんですけど……、まだ具体的な演技プランとかはまだ何にもないんですけど(笑)。あと、鹿になるということについてなんですけど、こうしてポスターを見ていると鹿は美しくて神の使いだって気がして。玉木君が鹿になっていくっていうのは何となくわかるような感じがして美しいなあと思っていたんですけど、この間前室で、かつら合わせじゃなくて……フィッティング? 鹿顔合わせっていうの? それを合わせたら見られなかった(笑)。この鹿の人と一緒に普通に芝居しなきゃいけないの? と思ったら結構おもしろかったんですけど。あの、ホント楽しみにしててください」

児玉:「夏目漱石の坊っちゃんを意識するわけではないのですが、それに類似したようイメージがあります。教頭というのは僕からすると、どういう立場にあるのかよくわからないのですが、どうもこの小治田という教頭は何だか掴みどころのない訳がわからない教頭で、真面目なのやら不真面目なのやら、でも僕自身はすごく楽しんじゃっていると言いますか。毎日おもしろく、現場では楽しんでおります。それと、これから奈良へ行ったら鹿を見る目が違うと思います。あんな顔で喋られたらどうしようかと思いますけど、あれだけいるんだから喋るのもいてもいいかもしれませんね」

奈良の風景

相沢のDIARYでもすでにロケ現場の雰囲気を紹介しているが、舞台は奈良である。この奈良という独特の文化を持つ町について、思い出や印象を伺った。

写真玉木:「小川は盲腸になって修学旅行に行けなかったんですが、僕は小学校の時に奈良と京都に行って、今回はそれ以来15年ぶりくらいに行ったんですね。大人になって見るよさっていうのがあって、大仏ってこんなに大きかったんだとか……。鹿もその時はそんなにいた印象はなかったんですけど、奈良公園には鹿がいっぱいいて、京都とはまた違う落ち着きあるいい空間だなという印象はありました」

綾瀬:「わたしは奈良に行ったのは初めてで、東大寺の大仏様の大きさにビックリしたりとか、奈良公園とか東大寺の周りに鹿が放されているのがとても不思議で、でも居心地がいい場所だなあと思います」

多部:「わたしは親戚の家が奈良にあるので……、親戚がいるなあ、と(笑)。まだ撮影では奈良に行っていないので、行ったら親戚に会いたいと思います(笑)」

柴本:「わたしもまだ撮影では行っていないんですが、修学旅行で奈良と京都に行って。それこそ公園の中の鹿に鹿せんべいをあげたら、指を食べられそうになった記憶しかないので、今度行ったときにどれだけ鹿がいるかなあ、と見に行きたいと思ってます」

佐々木:「僕は実家が京都なんですけど、これまでなかなか奈良に行く機会がなくてですね。京都はいろんな観光客が多いのもあるんですけど、奈良はもっとゆったりしていて余裕がある感じがしていて。ものすごい量の鹿の糞で……。ちょっと思ったんですけど、藤原君がよくかりんとうを食べてるんですけど、あれって鹿の糞に似てるな(笑)……と思ったりしました」

児玉:「奈良というのは色々思い出があるのですが、斑鳩の里とか法隆寺近辺とか東大寺とか。折に触れ行ったりしておりましたけど、こういう形で、ドラマの中で感じるのは、ファンタジックというかミステリアスというか……大変謎っぽいところがあって。あそこにいると何ともいえない時代の中に入てしまいそうな感じがするんですけど。万城目さんの話は縦横に現代から古代から古今東西、いろんなあらゆる知識を網羅した中で出来上がってくるお話なので、またこれから奈良が違った意味で印象的な場所になっていくと思います」

質疑応答

——Q:現場での楽しいエピソードなどあれば教えてください。

玉木:「和気あいあいとすごくいい雰囲気でやらせていただいているんですが、やっぱりムードメーカーの綾瀬はるかちゃんがおもしろくて、楽しくやらせていただいてます」

——その綾瀬さん、いかがですか?

綾瀬:「……はい。エピソードですね……(悩む)」

——「これは笑えた、とか」

綾瀬:「(まだ悩んでいる)そうですね……。奈良に行って、初めて鹿と玉木さんが戯れているのを見ていた時に、鹿のお尻を頭でつっついているのを見た時はおもしろいなと思いました(笑)」

——「それは撮影で?」

綾瀬:「撮影の合間に」

——「玉木さんそれはなぜ?」

玉木:「雄鹿っていうのはわりと、凶暴までいかないんですけど、ちょっとやんちゃで。持っているエサをすぐあげないと、ちょうどお尻の尾てい骨あたりをゴヅゴツやってくるんですね。それが結構パワーがあって痛いんですね。たまにお尻を噛まれたりとか」



——続いて多部さんはいかがでしょうか?

多部:「玉木さんを真正面で見てたら……、鹿になるんだなあと思って見てたら、だんだん鹿に見えてきちゃって(笑)。ちょっとおもしろいなあって」

玉木:「ひどいなあ(笑)」



——Q:鹿となかよくなるために心かげていること、気をつけていることはありますか?

写真玉木:「現場が終わるまでには鹿となかよくなって、操るまではいかなくてもちゃんとコミュニケーション取れるようになりたいなあと思ってるんですけど、まだ今の段階では全然言うことを聞いてくれないし、同じところにいてもらうっていうのが、もちろん野生の鹿なので難しくて。同じことをしてくれない中で、こっちは同じ芝居をしなきゃいけないっていうのが結構難しいなあと思っています」

綾瀬:「わたしはまだあまり鹿と関わっている時間が少ないんですけど、でも、ちゃんと目を見ていれば、終わるまでには一回くらい意思が伝わるかなあ、と期待してます」



——Q:奈良で印象に残った場所や、これから行ってみたい場所はどこですか?

玉木:「一話ですでにいろんな所に行かせていただいたんですけど、やっぱり大仏はすごく迫力があって、素晴らしいものだなあと思いました。撮影でよく出てくるのは飛火野という場所なんですが、まさに奈良ならではの場所だと思います(笑)」

綾瀬:「わたしもやっぱり東大寺の奈良の大仏様を見た時は、ほんとにびっくりしました。その大きさとか……大きさです(笑)。あと、阿修羅像は見てみたいです」



写真1月17日(木)22時スタートの「鹿男あをによし」。そのおもしろさ、撮影現場の和気あいあいとした雰囲気を少しは感じ取っていただけただろうか。 今回は今までとかなり違った世界観に挑戦している相沢だが、恐らくこれまでの作品と同じように、そのドラマの至る所で相沢らしさを垣間見られるのではないかと、わたしは期待している。

……それにしても「あをによし」ってなんだろう? と今さらながら思ったので調べてみたところ、「奈良」にかかる枕詞だそうだ。世界遺産に指定されている奈良の寺社などで撮影しているそうなので、修学旅行でしか行った事がない! という人は、この機会に奈良について知っておくのもいいかもしれない。


取材・写真・文:SeNa

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