REPORT 16

 
 2003.03.21.Fri

 桜の開花も待ち遠しい3月のゲストは、ドラマ「いつもふたりで」のプロデューサー 、 「よっしー」こと鈴木吉弘さん。 ドラマの最終回、そして打ち上げまで全てを終 え、やっと緊張から解放されたという状況の中、スタジオに足を運んでくださった。

 「いつもふたりで」のテーマソング、「Always」を聞いた後、ドラマのサウンドト ラックが流れ出した。
 「おっ!いつもふたりでのサウンドトラックが流れてまいりました…。この曲に乗っ て登場していただくのは!このドラマを作ったプロデューサー、フジテレビの鈴木吉 弘さんです」脱稿後のハイテンションのまま、相沢が元気よく紹介する。
 「こ…こんばんは…緊張しています」と、のっけから芸が細かい鈴木さんが応えた。
 「いえ緊張しているフリをしています、彼は(笑)」
 「いやいやもう、ラジオとか出ることないんで」
 「なんかみんなやっぱりヘッドフォンから自分の声が流れてくると違和感があるっ て言いますね〜」
 「あの〜、セットでこういうのは見たことあるじゃないですか。ラジオ局っていう セット。 で、(ラジオって)本当にそうなんだなって思うけど、目の前にマイクが あるなんてことはないんでね…」
 「あはは。あ、そういえば 何話だったかな。ベイエフエムがロケで使われていた んですよね」
 「そうそうそう」
 「健太君が瑞穂にCDを届けてもらうっていうシーンで」
 「もともと(脚本で)はテレビ局だったんだけど、CD届ける話だから、(監督の中 江さんが)ラジオ局だろうということで、変えたんですよね」
 「なんか、結構ベイエフエムでも話題になったそうで…」
 「あ!あれベイエフエムですか。あ、そうなんだ。ここだ!」とマジ顔で言う鈴木 さん。「え?ちょっと今、だからその話してんじゃん!(笑)」

 「…も〜、いいでしょう?いい味出してるでしょう?そんなよっしーこと…あ、こ の番組では、(鈴木さんのことを)もうよっしーと言っているんで、よっしーでいい ですか?(笑)」
 「人からよっしーって言われたことありますよ、これ、ラジオのせいですね(笑)」
 「あ、言われた?(笑)そんなよっしーとは、これで2本目…」
 「(世にも)奇妙(な物語)を入れたら3本目だね」
 「あ、そっかそっか。連続ものとしては2本目だったわけですが、最初の印象なん かを話そうと思うのですが、はじめて会ったのが『恋ノチカラ』!」
 「何をやろうかなーっていう企画打ち合わせみたいなところでかな。石原さんと( 相沢さんは)ずっとやられてたじゃないですか。それで相沢さんを紹介するよって言 われて。渋谷のビデオスタジオで会うことになって、はじめまして・・・って言った のが最初かな。でもその後5分くらいしたら、石原さんがいなくなっちゃって…」
 「そうそう、いきなりふたりきりにされちゃってね。最悪だよね〜。一番やっちゃ いけないことだよね(笑)」
 「そう(笑)、ほとんど相手のことをわかんないのに、いきなりふたりきりにされ て、話を始めていいのかどうなのかもわかんなくて…」

   「あれからもう2年くらい経ちましたが、お互いに印象は変わりましたね(笑)、 ええ、いろいろぶつかったりもしながらもね(笑)」
 「そうだね、今回は色々あったね。でも楽しかったね」
 「クリエイティブな衝突とか、みんながいいものを創ろうとしているっていうのが 解るぶつかり合いはいいものですよね」
 「『恋ノチカラ』の時は石原さんもいたし、共同テレビのプロデューサー船津さん もいたりして、みんなでワイワイやってる感じだったけど、今回はずーっとふたりっ きりでやってる感じで、長く感じたよね」
 「たまに煮詰まって、2時間くらい黙ってた時がありましたね(笑)」
 「あったねー(笑)。空気を替える人がいないからね(笑)」
 「誰か〜っ、誰かこの空気を変えて〜って感じでしたよね」
 「険悪なムードのまま時間だけが過ぎていったりね、しましたね」
 「あとお互いに寝てなくて、本当は帰って寝たほうがいいんじゃないかなと思いな がら…」
 「うん、どっちからも言い出せずにね(笑)」
 「でも、終わってしまいましたね」
 「終わってしまいましたね〜(笑)、なんか寂しいね」

 「吉弘さんにとって実は今回のドラマは単独プロデュースとしては初、デビューだっ たわけですよね」
 「うーん、初!それも緊張しましたね〜今回は」
 「番組でも言った気がするけど、顔合わせの時のプロデューサーの挨拶、すっごい 緊張してましたよね」
 「あー、僕ね、実際あまりしゃべるキャラじゃないんだけど、緊張はしないキャラ なんですよね。ああいう場での挨拶とかも慣れてて…。(当時の様子を目に浮かべな がら)ほんとにびっくりしたね。どうもプロデューサーの鈴木吉弘ですって言った瞬 間に、頭が真っ白になったんだよね。初めて真っ白になったよね」
 「はじめ、冗談かと思ったんですよ、ツカミかと思って(笑)。でも本当にパニくっ てたよね〜。なんかそれを見たときに、自分も脚本家として駆け出しで、これから頑 張って登っていこうっていう立場で、これからのことに新鮮な気持ちで向き合える人 と一緒に組めるっていうのが、すごくいいなって思って…」
 「いいこと言うねえ(しみじみ)」
 「いいフォローでしょ?(笑)でも本当にそう思ったの。ああいうことに慣れてい くじゃない、人間って。流して創られるほうが嫌でしょ、見ているほうも。そういう 意味で、吉弘さんというプロデューサーは、今回本当に全力投球でしたよね」
 「そうですね。自分の車幅感覚がわかってないから、どこまでケアすればいいのか わかんないんだよね。何でもかんでもやろうとしてて、いっぱいいっぱいになってた よね」
 「でも、そのいっぱいいっぱいな感じに、みんなが引っ張られてたっていうか、私 も含め他のスタッフ達は、きっと(なんかわからないけど)この人と一緒にやらなく ちゃって思ったんですよね。それってすごくいい空気だったなぁって…」
 「みんながね、優しくしてくれたよ〜、あはは(笑)。監督とかもね、結構暴れん 坊の中江さんだったんだけどねぇ、優しくしてくれた」

 「なんだかんだ文句言いながらも、暖かいっていうか、いいチームでしたよね」
 「うん、いいチームだった。いいチームじゃなかったらやばかったよね(笑)いろ んなね、様々なことがあったじゃない(笑)」
 「ありましたねぇ。トラブル…も結構ありましたね。私、あんまり(ドラマの)本 数はやってないですけど、こういうケースって珍しいんですか?」
 「うーん、やっぱりキャスト交代っていうのは、まあどうしようもないことだった けど、あれは多分、フジテレビのドラマ史上初じゃないかな。知ってる限りでは…な いんじゃないかなぁ。・・・あれには本当にびっくりした。いろいろな人に相談して みたんだけど、前例がないからわかんないって言われたり…」
 「でもそういう意味では、みんな対応の仕方とか、誠実だったと思いますね」
 「そうですね。本当にあの時はみんな助けてくれたから。葛山くんにしても、当時 映画もやっていたからスケジュールが無かったんだよね。でもムリクリあけてくれて」
 「打ち上げの時も、柏原くんからのお手紙を預かってきててね、それを(打ち上げ というみんなが揃っている場所で)読み上げて、感謝の気持ちを伝えたり、みんなで 乗り切ったねっていう感じがして、すごくいいなあと思いましたね」
 「(柏原くんは)このラジオは聴いてないかな?」
 「・・・どう…え?!(笑)何、なんか言いたいの?(笑)」
 ほんとすみません、こんな(プロデューサー)で、という眼差しをガラス越しに相 沢が向けてくるが、立派なチーム代表2人の、微笑ましい光景にしか映らなかった。

 「さて、なんの話をしましょうかって感じなんですけれども・・・ま、今回は色々 勉強になりましたね」
 「なりましたね。やっぱり…なんでこんなに難しかったのかな」
 …反省会と題しただけに、本格的に反省会になりそうな雰囲気のふたり。
 「ラブストーリーっていうのが、まず…ね。いつも冗談でラブストーリーは苦手だ とか言ってますけど、真面目な話、そんなにラブに対するノウハウって私はないんで すよ。で、どちらかというと、仕事モノとか男らしいモノのほうがお互い好きじゃな いですか。そこがまず、(ラブストーリーというものの)勉強でしたね」
 「まあ『恋ノチカラ』と全部比べるのはどうかと思うけど、あれほど仕事話じゃな いからね。もっとふたりの関係性だけで見せていこうっていう、できるだけ家の中に クライマックスを閉じ込めていこうとしたり、そういうのがね、確かに難しいよね」
 「あとなんだろう、幼なじみっていう設定も意外と苦労しましたよね、最後のほう とか」
 「そういう(恋に落ちる)幼なじみとかっているんだろうけど、自分自身そういう経 験がないから、想像しながら進めていったっていうところもあるしね…」
 「そうだね〜、回りにはいるけど、自分が幼なじみと恋に落ちたことがないからね。 (幼なじみの恋愛が)ありえるっていうことは、ずっと思っていたことなんだけどね。 でもだから面白かったのかな」
 「なんとなくさ、こういう(幼なじみの恋愛の)企画にしようって決めてからさ、 ラストはああいう感じになるっていうのは、なんとなく共通してあったんじゃない?」
 「うん。最後の告白シーンからキスシーンの流れみたいなものは、もう、やりたかっ たことはこれだ!っていうところでしたよね。あれがやりたくて、創ってきたってい うか(笑)」
 「普通のね、恋だったらキスシーンとかももっと勢いがあってがーっといくんだろ うけど」
 「カメラがぐるぐるまわっちゃったりね!あはは(笑)」と相沢が笑いながら言 う。
 「(今回は)どうしてもそっちじゃないっていうかね。いつキスしてもいいのに、 ふたりのその照れくささだけでなかなかキスできない感じっていうのを考えてたから ね」
 「確かに今回は、途中話が展開しないね〜とか、散々言われましたけど、それはね え、(そんなことは)わかってやってるんだよな〜って書いてましたね」
 「あんまり言われると、ちょっと揺らいだりしてね(笑)。途中ふたりとも揺らいだ こともあったね(笑)。最終回でちゃんとあそこまでいけたんで、途中のことも(思っ ていた通りで)よかったんだよなって思えたけどね」

 「今回見ていて思いましたけど、プロデューサーって、本当にみんなの意見を聞か なくちゃいけないじゃないですか、大変ですよね」
 「大変だね〜。やっぱり相沢さんの脚本の色っていうのもあるし、監督の持つ色っ ていうのもあるし、役者さんの色っていうのもあるし、それがぴったりはまればいい けど、必ずしもそうでないものを合わしていくので、どこで誰を説得するのか、誰に 引かせるのか、最後はプロデューサーが調整しなければいけないってね…。相沢さん の(脚)本ってね、僕そんなにたくさんの脚本を知らないですけど、難しいんだと思 うんですよ(笑)、演じるのも、撮るのも」
 「それはあれ?なんかこう、わかる人にはわかるっていうところを突いているとか …」
 「うーん。普通の定番だったらこう、っていうののちょっとひねって裏をいくじゃ ない。その裏がとても微妙なねらいなので、それを役者さんが理解して、なおかつディ レクターやカメラマンが理解してやらないと、うまくいかない可能性が結構高いディ ティールがたくさんあるんだよね(笑)」  「ご苦労かけますね(笑)。いやもう自分で書いてても確かにね、あー解りづらい のかなって思うところとか、自分にとっては当たり前のことというか、別に狙って書 いているわけじゃないんですけど、割とわかりやすく恥ずかしいところにいくのは嫌 なんで、こう恥ずかしくなりそうな展開をちょっと交わしたりするんですよ。それっ て確かに台本を読んだときに、役者さんが解るかとか、監督さんが解るかって考える と、ひとりひとりに説明するわけにもいかないから、(読んで)解ってもらえるよう に書かなければいけないなってことを思いましたね」
 「多分、それがうまく決まると、新しい展開というか見たことも無いシーンになる から、決まった!っていうことになるけど、打率…6割くらいかな(笑)」
 「でも、さすがに1話からいろいろあっただけあって、最終回っていうものは、私 はなんか手ごたえがありましたよ。わかったんだっていうか、(現場の)みんなが分か り合えたっていう空気感というか…」
 「足並みが揃ったって感じ?(笑)今頃揃ってどうするっていうか、遅い?(笑)」
 「でもそういう足並みが、乱れたり揃ったり一周したりすること、それが連続ドラ マの面白さだよね。ライブ感っていうか」

 「プロデューサーっていうのも、きっとそれを楽しまなくちゃいけなくて、この監 督と合うのか?とか。中江監督と相沢さんが合うのかどうかっていうのもわかんなく て、合うところは合うけど、基本的に目指すところは真逆なんじゃないかと思ったり しててね。だから一度「世にも奇妙な物語」を(一緒に)やってもらったりしてね。 藤原紀香さんのね。あれが半年前くらい?あの時に、中江監督が相沢さんのことをど ういう風に理解するのかっていうのを見てみたかったのね」
 「それがまた面白いとこかなぁ。いろんな人と組んでやれるっていうことが。必ず しも自分と常に同じ方向、同じベクトルを向いている人じゃない人とも組んで、それ でやっぱり引っぱり出されることとかあるし…」
 「うん。みんなが集まって刺激しあって生んでいくようにしないと、相沢さんがひ とりで作る世界から出て行かないだろうから」
 「そうですね、ひとりでできることってタカが知れてるし。自分も今回はやっぱり 未熟だなって思って、教えてもらうこととか・・・」
 と、ここで鈴木さんから笑いが。相沢の謙虚な発言に耳を疑っている様子だ。  「あー、今、放送上だから、一応(笑)謙虚にね(笑)」
 「いやーびっくりした、誰と話してるのかと思っちゃった(笑)」
 「なんでー!!失礼だなーもー」
 と、結局反省会にならない会話が続く・・・。

 後半は、鈴木さんの思い出の1曲としてPAUL MCCARTNEYの「PIP ES OF PEACE」が流れる。
 これは中学3年の時、流行っていた曲。当時鈴木さんは、貯金をはたいて八ミリの 機材一式購入した。ビデオカメラが出始めた頃だったが、以前から欲しかった八ミリ を買った。価格は全部で20数万円だったという。
 「八ミリなんて、見たことある?」
 「・・・うーん。ちらっと見かけたことがあるくらいかなぁ」
 「なんかね、本当に映画の縮小版だから、フィルムを切ってつなげて、アフレコと かもできるんだよ。つまり映画の真似事ができるのね。で、初めて作ったもののサン トラに使ったのが、この曲だったんですよ」
 一瞬鈴木さんが、中学三年生に見えた。…というと失礼な言い方だが、正確に言う と、当時の輝きが瞳の中に蘇っていた。
 「ストーリーものとかをちゃんと作れなかったので、街の風景とかをとって…結構 回したんだよ。60分近く撮って、それをこの1曲分に切って編集して(笑)ミュー ジックビデオみたいな感じにして。頑張ってね、人がひとりも出てこないように撮影 したんだ。車とか人って写っちゃうから、(人の居ない)朝とかに撮影に行ったりし て、かなり時間がかかったんだよね」
 「中学生の時に、ですか。その頃から映像というか、映画とかに興味があったんで すか?」
 「そうだね。言いながら思ったんだけど、ストーリーとか興味ないのかもしれない (笑)」
 「そんなこと言っていいの〜?(笑)どっちかっていうと映像派ってこと?」
 「映像、なんだよね。この曲を聴くと思い出しますね。2ヶ月くらいかけて撮影し たんだけど、カメラ抱えて出かけるのが楽しくってね〜」
 「創った作品は誰かに見せたりしたんですか?上映会とか」
 「・・・家族かな(笑)」
 上映後の反応は、ノーコメントだったらしい。

 そんな楽しい話の中、プロデューサーになろうと思ったきっかけについて聞く。きっ かけは、大学で映画サークルに所属し映画を作っているときに、自分はプロデューサー がむいていると思ったこと。ディレクターになると趣味に走りすぎるので、プロデュー サーという立場のほうが、客観的に物事が見渡せて、いいものが作れると感じたとい う。
 「僕のようなディレクターの面倒を見てくれるプロデューサーが居てくれたら、そ んな幸せなことは無いですけど、そんなのありえないですからね」とも語った。
 こんな素晴らしい話の後に、思い出の曲として持ってきていただいた少女隊の曲が 流れる。曲とともに、手振りする鈴木プロデューサーが居た。素敵すぎる(笑)。

 「少女隊の曲。聞いたことありました」という相沢に、「いいでしょ?可愛いでし ょ?」と鈴木さん。
 「えー、少女隊の話をこの後30分くらいしたいところだと思うんですが、一応ね、 ドラマの話をしようかなと(笑)。最後のブロックなんで、振り返ってみて…」  「ついに反省ですか」
 「あ!してないねぇ、反省。しろよって感じ?いいんですよ、日々反省しながらやっ てましたもんね(笑)」
 ついに反省会にはならず、一番好きだったシーン、印象的だったシーンの話に突入。
 「僕が一番好きだったのは、2話のね、『瑞穂:そうかな。健太:どうかなぁ』の シーン」
 「あれか、瑞穂が落ち込んで健太が、瑞穂の良さをわかってくれる人がきっと居るっ て慰める。で、瑞穂が"そうかな"っていうと、健太が"・・・どうかなあ?"って言う ところね。2話ってすごく覚えてるんだけど、作っている最中に、とにかくやりたい のは、同じ家に住んでいるんだけど、お互いの身に起きたことをお互い何にも知らな いままに話が進んでいって、最後までお互いの身に何が起きているのか知らないのに、 なぜかお互いの存在が影響しあって、最後に着地するっていう、すごい難しい話だと 思って。それをやりたいって言われた時に、どうしよ〜って思ったけど。でもすごく やりたかったことが、一番明確に出た回だったと思いますね」

− ON AIR LIST −

1 Always/光永亮太
2 HUMAN INTEREST/HOOVER PHONIC
3 THE FIRST TASTE/FIONA APPLE
4 PIPES OF PEACE/PAUL MCCARTNEY
5 素直になってダーリン/少女隊
6 僕のせいじゃない/相沢友子

 最後に、プロデューサーの醍醐味について聞く。
 「なんだろうなあ。テレビって観客が目の前にいないから、実は手ごたえがないじゃ ないですか。僕と相沢さんの間で、あそこが面白かったとか、スタッフなど周りの人 の意見は聞こえるけど、実際それがどういう風に(視聴者に)見てもらえてるのかなっ て、視聴率でしか解らなくて。その手ごたえの無さが不安に繋がっていったりするん ですけど、電車の中とかでね、自分の関係しているドラマとかが話題になってたりす ると、すっごい嬉しいよね。褒めていてくれたら嬉しいけども、この間のはこうだっ たよね、もっとこうなればよかったのにっていうような話だったとしても、嬉しいよ ね。ちゃんと見ててくれる人がいるんだって。そしてそれを話題にしようとしている 人がいるんだっていうのが解った時、嬉しいよね」
 「わかります。例えあんなのはないんじゃない?って言われていたとしても、そこ に語られてるっていうことで、見てくれてありがとうっていう気持ちになりますよね」

 今後、鈴木さんがやってみたいことは何かという質問に対しては、
 「SFやりたいかな。宇宙ステーションの中の話とかね。地球救ったりする派手な やつ!(笑)(相沢さんも)大好きでしょ?そういうの。アルマゲドンみたいなやつ」
 「やりたい!…でも、ラブストーリーもやらなくちゃ(笑)。(「いつふた」を) やって面白かったなって思ったし(笑)」
 「やるよ!両方やっていきたいな。ちゃんとしたラブストーリーというか人間ドラ マも。ホームドラマもやりたいんですよ。ま、ホームドラマをちゃんとやるにはまだっ て感じだけど。もうちょっと色々積み重ねてからやりたいかな」
 と、ホームドラマは一番難しいと思うと語る。
 「刑事モノとかも結構好きなんですよね。だから、教師もの、医者もの、刑事もの、 ホームドラマ、ラブストーリーって1回づつやっていいでしょ(笑)。2回目になる と引き出しがからっぽになっちゃうから無理かもしれないけど、1回づつくらいなら できるでしょ(笑)」
 「なるほどね。そう言う意味ではジャンルに捕らわれず、今後も色々な冒険をして いって欲しいなと思います」
 「一緒にやりましょう!」

 「一緒にやりましょう!」「やりましょう!」 ドラマ作りに限らず、あらゆるこ とに関して、この言葉と気持ちが大切なんだと気づかされる。
 このふたりが中心になり創り上げてきた作品が、ひとつ完結した。 次は何を作り 出してくれるのだろう。
 ひとつのものを生み出す、創り上げるということに傾けられるパワー。時間や金額 では表しきれないそのパワーを、情熱という言葉で置き換えるとしたら、情熱を持ち 続ける人間がいかに輝いているかを、強く教えられたひとときだった。


<うさぎのちょっとひとりごと>
 今後、誰かに親しみのある顔について尋ねられたら、私はきっとよっしーの顔を思 い浮かべると思います。(すみません)プロデューサーと脚本家、つまり「いつもふ たりで」を創り上げる核となっていた二大人物が競演した今夜…どうしてこんなにほ のぼのとしているのか不思議です(笑)。もう一組の「いつもふたりで」っていう感 じかな。