REPORT 9

 
 2002.06.28.Fri

 雨粒を抱え込み、太陽を隠してしまった雲が広がる梅雨空の日々。そんな6月のゲストは、今回で2度目の登場となる加藤いづみさん。 相沢とは親友と呼び合うほどの仲良し。小田和正さんのツアーをはじめ、イベントやラジオのレギュラー番組などなど、多忙な毎日を送っている様子。 この収録にも、栄養ドリンクをぐびっと飲んで取り組む姿勢が、男らしく頼もしい(?)いづみさんでした。

 「こんばんは〜加藤いづみで〜す」ゆったりとした挨拶。「こんばんは、久しぶり だね」と相沢。「そうだね…、どれくらいになるんだっけ?ん・・・2週間ぶりくらい(笑)?あはは…」「ちがうよ(笑)、こうやってゆっくり話すのって久しぶりだよねってこと」 かみ合っていないのに、楽しそうなふたりの会話が始まる。

 「小田和正さんのツアー真最中ということで、お忙しいところを来て頂いたんですが…」
 「なんかねぇ、旅って移動が一番疲れるのかな。で、暑くなったり寒くなったりが激しいと余計ねぇ。今回は、打ち上げも、ご飯を食べるところまで参加したら、真面目に帰ってるんです。なんかね、今回は気合が入っているせいか、毎回(終わると)ぐったりなんです(笑)」
 「・・・でもそれは、いいことだよね。完全燃焼ってことだもんね。そんな小田さ んのツアーの話は後でゆっくり聞くとして、加藤さん個人の最近の活動について聞いてみようと思うんですが、bayfmで番組を持ってるんですよね?」
 「そうそう、えーっと4月くらいからだったかな?日曜日のぉ、夜9時から10時30分までの1時間半の生放送なんです」
 「生なんだ、こんなに忙しいスケジュールなのに、生なんだぁ。」

 相沢と同様、ラジオを愛するいづみちゃん。特にEVER POPという番組は、これま でとは違って、日本の懐かしき良き歌をちゃんと紹介するという使命があるので、緊 張感もあり楽しいんだとか。情報を正確に伝えることと、その話から脱線することを いかにバランスよくできるか、毎回が勉強なんだという。

 また、先月のゲスト・ディスクガレージの中西氏がプロデュースし、相沢も脚本を 手掛けたDVD『Love&Peace』の中では、ナレーションにも挑戦しているいづみちゃん。 これまでにも、デパートのバーゲン告知CMなど、ちょこちょこと「声」のお仕事をし てきたという。
 「前にもね、なんとかヨーグルト、100円(ちゃんとCM風に)・・・とかいうの をやったんだけど…(笑)」
 「あはは、いいなー そういうの、面白い!加藤いづみの武器はやっぱり声だと思 う。コマーシャルを聞いたときも、100円って聞いただけで、えっ?この声はいづ み?ってすぐわかって、すごいなぁと思ったんですよ」
 「声で表現するっていうことが私は好きみたいですね」

 引き続きいづみちゃんの最近の活動についてで盛り上る。
 ヴォサノヴァやろうよ!と言って集まったミュージシャン仲間と結成したグループ での活動、そして相川七瀬さんの楽曲を作ったときのチームに山口由子さんや松本英 子さん、槙原敬之さんなどをゲストヴォーカルに迎えて行なった「smiles&t ears」というイベントも、好評につきこの秋2回目を行うことが決定したという。  「槙原さんと、“どんなときも”を一緒に歌っときは、もーすごいよかったのぉ♪」と、その時の興奮を訴えるかのように語るいづみちゃん。
 槙原さんの「You are so beautiful」を聞いた後で、「(槙原 さんのように)ひと声でうわあっと会場の空気を変えることが出来る人ってすごいと 思う」と相沢も納得。

 そして、そんな才能を持った人としてもうひとり、小田和正さんの話に突入。

 新宿厚生年金会館のLIVEには相沢も足を運んだので、実際に一緒にツアーを回っ ているいづみちゃんならではの視点で、色々な話が飛び出す。今回で2度目のコーラ ス参加。1度は一緒にできても、次は保障されていないのが現実。 今回の話が来た ときは、「あー前回いい仕事ができてたんだな」って実感できただけに、思い入れも より一層強くなったという。
 そんなツアーも、スケジュール的にはそろそろ佳境。にもかかわらず、まだまだ発 展途上というか、毎回違う発見があって、まだまだこれからも育っていくのではない かと思えるほどのステージなんだそうだ。

 小田さんの「キラキラ」に関しては、相沢にとってもいづみちゃんにとっても、お 互いに心を動かされたと語り合う。
 「私にとってこの曲は、やはりドラマのこともあるし、さらにいづみちゃんがコー ラスをしているということも非常に感慨深くて。それだけで ううっと感動するし、 会場の人も一緒に歌っているのか見たら、なんかこう、感激しました」
 「あのねぇ、子供とかを連れてきている人たちが多くて、前の方は目立つんだけど、 みんな「キラキラ」を歌ってるんだよ」といういづみちゃんの話を聞いて、相沢は思わず、
 「(嬉しくて)いやぁ〜っ」
 「私もね、もうその時には、友子ちゃんの顔とか思い出すの、すごいなぁって思って。友達の甥っ子とかにも、小田さんって知ってる?って聞くと、キラキラの人でしょ うって答えるの。これってやっぱりドラマの力だよね。でも、いいドラマじゃなけれ ば残らないんだと思うし、そう考えるとなんだか泣けてくるの・・・」
 「いやあ、もう話を聞いてるだけで泣けてくる」
 ・・・と 感極まったところで『キラキラ』が静かに流れはじめた。

 後半は、以前相沢が作詩を担当した、いづみちゃんの『愛について』からスタート。
 いづみちゃん本人も、久しぶりに聞いてみると、こういう風に歌えばよかったとか思ったりして、表現の方法って変化するものなんだとしみじみ感じていた様子。
 「懐かしいね、またライブで歌いたくなっちゃった」といういづみちゃんのひと言に、「聞いてみたいな」と相沢も嬉しそうだった。

 そして、話は番組おなじみのテーマ別トークに。
 5つあるテーマの中から(詳しくは番組を毎週聞いてね!)、いづみちゃんには、まず「心に残る大切な言葉たち」について聞いてみた。

 いづみちゃんにとっての大切な言葉とは、サンテクジュベリの小説「星の王子様」 の中に出てくる、
 「本当に大切なものは、目に見えないんだよ」
 目に見えないものを、言葉とメロディで伝えて、さらにその人その人の経験に重なって形を変えていく音楽というのも、やっぱり大切なものなんだと思って、歌を歌っているんだとか。

 もうひとつは、相沢に言われた言葉という。それを聞いて、相沢自身もひどく興味を持った様子。
 頑張って歌っていかなくちゃね、と電話で話をしていたときに、「いづみちゃんの声は、魔法なんだから」と相沢が言ったんだとか。それを聞いたときは、すごく嬉しいと同時に、「えーっ、魔法なの?」とちょっと驚いたけれども、その後は何か頑張らなければいけないときには、必ず思い出して頑張っていると語るいづみちゃんに、「あー、そんなこと言いましたねー」と、相沢。
 「ホントに覚えてる?適当に言ったんじゃないの〜?」と茶化すいづみちゃん。

 「私の中では、さっき話した小田さんや槙原さんと同じように、加藤いづみの声っていうのも、その場の空気を変えることができる声だと思っているから、それはひとつの魔法だと思ったし、その魔法を持っている人って本当に少ないと思うから・・・」と、語っているうちに恥ずかしくなってきた様子の相沢。
 番組には、色々な言葉が届くが、いつも言ってもらった側の立場から紹介してきたから、こうやって自分が言った言葉が大切だと言われて初めて、言われた側の人に対してものすごく伝えたい言葉を選んで言っている訳ではなくても、何かのきっかけでひどくひっかかる言葉になるものなんだということに気がついたと言う。

 「それに、言ってくれる人が大切なんだと思う、きっと。自分のことをすごく知っ てくれている人に言われたりすると重さも違ったりするんだと思う。(相沢から言わ れた言葉も)母親から言われたら違う意味に受け止めたと思う」といづみちゃん。
ふたりとも、言葉の奥の深さをしみじみと感じた様子でした。

 続いては「私の中の悪魔」というテーマ。
 「いづみちゃんの中に、結構一杯ありそうと思ったのが、私の中の悪魔!」
 「あー、もー、全然ない!あははは・・・。いや、これを聞いたとき、すごい一杯あるなあと思ったんだ」
 「でしょー、しっぽ生えてそうだもんね」と、会話がはずむ。

 いづみちゃんは、向田邦子さんの「父の詫び状」というエッセイが好きで、その中に(喪服を着るということは不幸な出来事が起こるということだというのに)新調した喪服を早く着てみたいと思ってしまう女性の心理に同感するという。そして、そういうのって悪魔だと思うと。
 「あとね〜、友達の恋愛相談とか、失恋話なんかを聞くと、これって歌詞になるな あって思ってる自分!」
 「あ!そーそー、それある。それにつきるかも。何かコトがあるたびに、これってネタになるかもと思ってしまう。すごく可哀想と思って励ますけど、これはすごくいい経験だし、実はすごくキラキラした瞬間であり、ネタに使えるって思ってしまうのは、悪魔だと思う〜」 相沢は、今までこのテーマをやりながらも私はそんなことはないって思っていたけど(ホント?!)今、初めて私も悪魔かもって思ったと笑った。

− ON AIR LIST −

1 新世界/加藤いづみ
2 You are so beautiful/槙原教之
3 キラキラ/小田和正
4 愛について/加藤いづみ
5 冷たい心/加藤いづみ
6 Cherry Red/相沢友子

 最後は、いづみちゃんの今後の活動予定などを聞いた。
 まずは、小田和正さんのツアー。「小田さんを見ていると、私ももっといい歌が歌いたい!って悔しくなる」と話すいづみちゃんは、キラキラとパワーに満ちている。
 その他イベントライブなど、今後もいづみちゃんの声を生で聴くチャンスが増えそうだ。 相沢も、「ぜひ聴かせてもらって、刺激をもらいたいと思います」と言った。
 お互いの頑張っている姿によって、それぞれが良い刺激を与えられる関係、これこそが親友というものなんだろうと気付かされた。

 最後にいづみちゃんが言った、「こうしてラジオで会うと照れくさいけど、普段言えないようなことがちゃんと伝えられて嬉しい」という言葉が、微笑ましくも印象的だった。
 この番組を発信する側、そして受け止めてくれる側との関係も、同じようにありたいと願いたい。


<うさぎのちょっとひとりごと>
 この日は、梅雨寒の夜。少々お疲れオーラを発していた相沢さんは、珍しくスタジオに入ってからもどんより。スタジオのテーブルの赤が、やけに目に染みるのは気のせいではなかったはず。そんな中、加藤いづみさん登場。
 雑談…いえいえ打ち合わせを進める中で、徐々にふたりは輝きを増し始めました。
そして番組が終わる頃には、笑いっぱなし!
 結論。女同士って、やっぱりスゴイ。