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面白くなくちゃダメ、面白いだけでもダメ

  • 2002/05/09

スティーブン・キングの新刊が出ると聞いたのは少し前のこと。
うわー、早く読みたい! 発売まで待ち切れなーい! 興奮して騒ぐ私に、
親切な新潮社の編集者さんが本を送ってくださいました。
いや、そういう意味で騒いだんじゃないんだけど・・・
まぁちょっとは期待してたかもしれないんだけど・・・(笑)。
嬉しいですっ。ありがとうございます。

で、早速ページをめくり、黙々と読み耽り、
ひとまず上巻を読み終えました。
キングは相変わらず面白いなぁー。本当に、理屈抜きで面白い。
ページをめくる手が止まらなくなるもんね。
物語もさることながら、あの語り口が読み手を引きつけて離さないんだな。
今回の「アトランティスのこころ」の冒頭で、
主人公の少年に老人が本について語るシーンがあるんだけど、
何だかその台詞が"表現"というものすべてに通じる真理のような気がした
ので、ここに抜粋してみます。

「筋立てを楽しむために本を読むのも悪くはない。
物語を楽しむことをしない読書家気どりの俗物になるんじゃないぞ。
そして、時には言葉づかいを・・・すなわち文体を楽しむためにも
本を読みたまえ。そういう読み方をしない安全読書第一の連中みたいに
なってもいけない」

なるほどねぇ~。
思わず本を片手に呟いてしまった(笑)。
「物語を楽しむことをしない読書家気どりの俗物」というのが
何ともキングらしい言い回しじゃないですか(って、偉そう??)。
物語はまず面白くなくちゃダメ、だけどただ面白いだけでもダメ、
みたいな。そのバランスの取れた姿勢が、こんなに面白くて、
でも断じて薄っぺらくはない素晴らしい物語を生み出すんだろうなーと
改めて感嘆した私です。

そうそう、上巻を終えたところでひと息ついたので、
ふと思い立って久しぶりにマンガを買ってみたりもしました。

フジテレビの吉弘さん(通称ヨッシー)とは、よくマンガの話で盛り上がる。
職業柄リサーチが必要なのか、それとも単なる趣味なのか(笑)、
守備範囲は実に幅広く、もちろん少女マンガもかなりイケる口。
「恋ノチカラ」を書いてる時は萩尾望都と紡木たく話に花が咲き、
私は連ドラ執筆中の脚本家という立場にも拘わらず、「ト-マの心臓」と
「瞬きもせず」を本棚の奥から引っ張り出して全巻読み倒してしまった。

そのヨッシーがこの間食事をした際に「時間のあるうちに読んでみたら?」
とふたつの作品を勧めてくれた。
「明日の王様」という少女マンガと、「20世紀少年」という少年マンガ。
とりあえずそれを二冊ずつ買ってきてみたんだけど・・・
これが、勧められただけのことはある!
両方とも面白かったけど、特に「20世紀少年」は秀逸!!
とても人気のある作品だということなので(むしろ知ったのが遅いくらい)、
あえて内容は書きませんが、それこそ筋立てもよくできてるし、
さらに描き方というか、話の運びや展開、細かな伏線なんかも
本当によくできてるんだよね。ドラマ創りに携わる人間には勉強すべき
要素がたくさんあるという感じです。

はぁ~、まいった。
続きが気になって気になって、起きるなり本屋に直行しちゃった(笑)。
レジで少年マンガを大量に買う私って・・・と隣を見ると、
爽やかな男子高校生がフルーツナントカっていう少女マンガを
やはり大量に買っていた。人それぞれ趣味は違えど、
やっぱり面白いものは面白いのよね、と妙に納得。
私もこんなふうに、誰かを夢中にさせる物語を書きたいな。

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