重ねてきた時間
- 2003/07/28
7月が終わろうとしています。
まだ梅雨が明けてないからなのか、
それとも今年はこのまま冷夏なのか・・・
何だかあんまり夏!って感じがしないですねぇ。
猛暑は体力的にキツいけれど、
スカッと晴れた青空は見たいと思う贅沢な私。
だって夏って好きなんだもん。
晴れてれば晴れてるほど、切ない気持ちがこみ上げてくるのよね。
何ていうんでしょうか、あの感じは。
遠くで鳴っている雷をふと耳にする夕暮れ、
激しい夕立ちが上がった後の湿った空気、
蝉の声が頭を埋めつくし、生まれた静寂の中で浮遊する意識。
そのひとつひとつが懐かしく、私に何かを訴えかけてくる。
何かとても大切なことを忘れているような、
そんな気にさせられてしまうのです。
この間、母の日本舞踊の発表会があるというので、
久々に実家の方に行ってきたんですけど、
子供の頃から使っていた最寄りの駅があまりにも変貌していて驚きました。
新しいビルが建ち並び、開かずの踏み切りが立体交差になり、
ホームや改札も整備され・・・
何だか、知らない町に来ているみたいだった。
時間が確実に流れてるんだなーって、タクシーを待つ列に並びながら、
ちょっぴり感慨に耽りました。
発表会会場へ行くと、そこは一変して華やかな空気に満ちていて・・・
子供の部で踊り終えた、色とりどりの着物を着た子供たちが
はしゃぎながら行ったり来たり。
そうそう、発表会ってこんな感じだった、うん。
母は舞台の上で、家で見せる顔とは違う真剣な表情で、
リズムに合わせて身体を優雅に動かしていた。
その姿も新鮮でよかったけど、その後父や甥っこ&姪っこ、
母の友達を交えて食事に行った時、
私たちのことは放ったらかしで友達とのお喋りに夢中になっている母が、
私にはすごく印象的だったな。
母は若い頃にも日舞を習っていて、生け花の師範免許なんかも持っている。
私にもどちらかを習わせたかったようだけど、
期待を裏切るおてんば娘に生まれてしまい、
残念ながら希望は果たしてあげられなかった(笑)。
今思うと、あの時母の勧めを聞いて、
親子で一緒に舞台に立っていたりするのも悪くはなかったような気がする。
それくらい母は楽しそうだった。いくつになっても好きなことを
やっている姿というのは美しいものだと思いました。
さて、いよいよ本格的に連続ドラマの執筆に入った私ですが、
なかなか順調に筆を進めております。
先日ある程度の情報がスポーツ紙に掲載されたようなので、
ここでも発表しちゃおうかな。
放送は10月から。渡辺淳一さんの「エ・アロール」という小説が原作で、
主演は豊川悦司さんです。豊川さんとは2年半ほど前に放送された
「17年目のパパへ」というスペシャルドラマでご一緒して以来、
源監督を通しておつき合いさせていただいています。
できれば連続ものでもいつかご一緒させていただきたいなぁと
思っていたので、何だかすごく嬉しいですね。
詳しい内容はこれから追々伝えていきますが、
舞台は銀座の一風変わった老人ホーム。そこでくり広げられる、
シルバー世代のヒューマンコメディといったところでしょうか・・・
今までとはまた違ったフィールドということで、
とても新鮮な気持ちでいます。
役者としても人間としても尊敬している豊川さんと、
私が生まれる前からお芝居をしている、つわもののベテラン俳優さんたち。
その胸を借りるつもりで思いきりぶつかって行こうと思ってます!
あの日、母を見ていて感じた、どこか透明な美しさ。
重ねてきた時間とさまざまな経験からにじみ出る、説得力のようなもの。
それを主人公の目線を通して魅力的に描けたら最高だな。