続・山形再訪
- 2015/11/24
18日に放送された山形発ドラマ『私の青おに』。
制作準備から撮影、そしてPR活動まで、
地元の方々、特に物語の舞台となった高畠町のみなさんには
本当にお世話になりました。
昨年のシナリオ取材以来、一度もお伺いできていなかったので、
一言お礼を伝えたく、倉崎監督と共に各所を訪れました。
まずは、童話『泣いた赤おに』の著者である浜田広介記念館。
館長の樋口さんは広介氏を深く敬愛していらして、
取材時にはその生き方と精神・・・人と人との深いつながり、
お互いを思いやる心、純粋な善意を信じる温かな眼差しについて、
優しく、熱く語ってくださいました。
そう、劇中に登場する学芸員の森岡は樋口館長の若かりし頃を
想像して書いたキャラクターです。
そんな樋口さんですから、
仕上がった作品についてどう思われるかと、
ちょっとドキドキだったのですが・・・
試写をご覧になった後、制作スタッフに向けて
長くご丁寧な感想のお手紙を書いてくださり、
もったいないくらいの温かな言葉をいただきました。
それを読んだ時は感激して、思わず胸が熱くなりました。
直接お会いして、さらに詳しく感想を伺うことができ、
本当に細かなところまで真摯に観てくださってるんだなぁと
とても嬉しかったです。
館内には広介氏にまつわる様々な展示物があり、
絵本を読むスペースもあります。
『泣いた赤おに』は時代を経て版を重ねるごとに
加筆修正が加えられたため、それぞれに違いがあるんですよね。
その変化を読み比べて広介氏の意図を探るというのも
なかなか興味深いかと思います。
ちなみにドラマで引用したのは左から3番目、
黄色い表紙のバージョンです。
私はこの本の青おにの手紙の文章がいちばん心に響きました。
高畠町役場では副町長の渡部さん、ドラマと高畠町との
架け橋になってくださった深瀬さん、八巻さんと、
試写会の反響などについてお話しました。
地元のみなさんがとても喜んでくださっていると聞くと、
それだけで書いてよかったなぁと思います。
お三方とも立派な大人の男性ですが、
劇中の女子ふたりの気持ちに共感し、涙したそうですよ(笑)
高畠の人たちは、みんな真っすぐであったかい。
ドラマ制作にも町ぐるみで全面的に、全力対応で協力してくれて、
おかげで余計な制約やしがらみに煩わされることなく、
私たちも純粋に「いい作品をつくろう!」ということだけに
集中することができました。
最後に訪れたのは昭和縁結び商店街。
『新・休み石ツアー』のイベント会場となった場所ですね。
莉子の実家という設定だったレトロな喫茶店・高砂屋さんに
みなさん集まって待っていてくださいました。
席に着くなり、挨拶もそこそこに
「ほらこれ食べて。これも、これも」と
お手製の漬け物やラフランスなどが次々差し出される(笑)
そうそう、この感じ〜!
お会いするのはまだ二度目なのに、
まるで故郷に帰ってきたかのように和みまくり。
初めて来た時から不思議とそんな感じがして、
この場所が大好きになりました。
初めて食べた柿の白和え。
甘くてクルミの風味が香ばしくて、すごく美味しかった!!
つくってくれたのは大判焼が名物のお店「おばこや」の
看板娘・はっちゃんです。
昨年来た時におばこやさんの前で撮った写真↓
はっちゃんがつくる大判焼きはホントに美味しくて、
わざわざ遠方から買いにくる人もいるそうですよ。
他にも美味しいお蕎麦屋さんや和菓子屋さんなどいろいろあるので、
ぜひ遊びに行ってみてください。
どこのお店もホッとする時間が流れていて、
きっと癒されると思いますよ。
高砂屋さんには『泣いた赤おに』続編公募の応募先品が
期間限定(今月29日まで)で展示されています。
どれも力作揃いで、読んでいるとハッとさせられたり、
妙に考えさせられたり、思わず笑みがこぼれたり・・・
「赤おにと青おにのその後の物語は、それぞれの中にある」
広介氏がそう考えてあえて続編を執筆しなかったことが頷けます。
今回脚本を執筆するにあたり、
「これが続編です」と決めつけてしまうのではなく、
あくまで「自分にとってのひとつの続編の形」として提示する、
という意識をチームで共有しました。
だから、このドラマがみなさんにとっての青おにとは誰か、
その人との物語の続きを考えるキッカケに
なってくれたらいいなと思っています。
というわけで、あっという間に時間が過ぎ、
そろそろ駅に向かう時間です。
なんだか名残惜しく、席を立っても会話が続き、
なかなか途切れません(笑)
もっとゆっくりしたかった・・・
特に印象に残ったのは、「1年がかりでやって来たから、
今日(の放送)で終わってしまうと思うと寂しい」
というようなことを倉崎監督が言った時に、
はっちゃんが言った言葉。
「何言ってんの、今日で終わりじゃなくて、
今日から始まるんだよ。
このドラマをたくさんの人に観てもらうために、
これからは私たちががんばるんだから」
ああ、そうか。放送してからがスタートなのか。
『地域発ドラマ』という企画の存在意義を教えてもらった気がして、
なんだか感慨深かったな。
最後はみなさん雨なのに外まで出てきて、
「気をつけてな〜」と笑顔で見送ってくれました。
また改めて、今度はぜひ泊まりで来て、
商店街の飲み会にも参加したいと思います。
お土産にいただいたワインも大切に飲みますね!
駆け足でのご挨拶になりましたが、
各所関係者のみなさま、本当にどうもありがとうございました。
これから雪の季節の到来なので、
くれぐれもお身体を大切になさってくださいね。
またお会いできる日を楽しみにしています。